〜島根県立中央病院を訪れて〜
県会議員      尾崎 かおる
病院ボランティア  森本 晴江    
 今年2004年8月に鳥取県立中央病院でボランティアをしている方と島根県出雲市にある県立中央病院を訪問し、“患者のみなさんを中心とした病院作り”がなされている様子を見て来ました。
まず心に響いたのがパンフレットや入院の案内に患者の皆さまの権利として以下の様に1〜7まで掲げ、ていねいに説明してあることでした。
                 患者の皆さまの権利

 島根県立中央病院は、新病院開設以来「医療の主人公は患者さんである」を基本理念に県民の皆さまのニーズに応える医療の提供を目指してまいりました。
 ここに、患者の皆さまの権利を宣言し、この達成に向け、全職員が日々努力をしていくことを、改めて確認いたします。

1 良質な医療を受ける権利
  患者の皆さまは、どなたでも差別されることなく、平等に良質な医療を受ける権利があります。
2 選択の自由の権利
  患者の皆さまは、医療機関を自由に選択する権利と医療のどの段階でも別の医師の意見を求める権利があります。
3 自己決定権
  患者の皆さまは、十分な説明と情報提供を受けた上で、治療方法などを自らの意思で選択し、又は拒否する権利があります。
4 説明を受ける権利
  患者の皆さまは、病気の内容やその治療、検査などの効果・危険性について、わかりやすい言葉や方法で、十分な説明を受ける権利があります。
5 情報の開示を求める権利
  患者の皆さまは、自分の診療記録の開示を求める権利があります。
6 プライバシーの保護及び秘密の保持
  患者の皆さまは、病院内でのプライバシーを守られる権利があります。また、診療の過程で得られた個人情報は、個人の秘密として厳守される権利があります。
7 個人の尊厳
  患者の皆さまは、一人の人間として、その人格、価値観などを尊重される権利があります。
このように、患者さんや御家族の心のケアやプライバシーの保護にも気配りをした病院作りがされています。そのいくつかをご紹介いたします。
島根県立中央病院の紹介   2004年8月17日(火)
病院の外観
遠目にはホテルと見まがう外形で、
緑も多くまさに「医療の主人公は患者さん」です。
但し道路からの入り口が分かりにくかった。
情報公開まずは顔写真から
この病院の主な医療スタッフはどんな人かを写真で紹介。親しみが持てます。
ロビーでのアメニティーについて
入ってすぐ左横に車椅子があります。またベビーカーが置いてあり、赤ちゃん連れにも配慮されています。すぐ前に総合案内もあり便利です。
右手奥、電話専用室にはチャイルドシートがあって子ども連れでも、安全に電話ができるし、また車椅子対応で広々しています。
各病棟には食堂が
各フロアーは東西に分かれていて、48x2のベッドがある。中央部に食堂・面談室があり、病室でも食堂でも食事が出来ます。大きな窓から美しい景色が見渡せて、食欲も出ると思われます。
コーナーには患者さんの手作り作品や花などが飾られていて「ほっ」とする空間です。
ゴミも分別して捨てやすいです。
エレベーターは別々
お見舞いに来られた方と、入院患者さんとはエレベーターが別になっていて、パジャマ姿でぎこちなく「こんにちは」という場面はありません。安心して検査などへ移動できます。(写真は玄関脇にあるお客さん用)
病室に名前の表示はなく、草花の名と部屋番号が
患者さんのプライバシーを守ることが最優先で、リストバンドなど駆使して間違いのないようにしておられます。この病院では電子カルテを導入しており、病室までノート型パソコンを持っていき、情報の共有と開示が可能です。何処からでもアクセスできて、カルテ移動の時間のロスがありません。
特別病室
5〜10階に各階2室ずつ、家族の方も寝泊り可能な病室があります。バス、洗面台も広く、畳の部屋がいいとおっしゃる終末期の患者さんのために、医療機器も完備されていました。パソコンの使用なども可能で、携帯電話は一部の場所を除き可になりました。
動線の長さ
建物は東西に腕を伸ばした+三角形の設計となっていて、全てのベッドから窓の外が見えます。しかしながら看護師さんの動線は結構長く大変なようでした。各病室へ行くときは看護師さんは忘れ物が無いように、パソコン端末と医療用機器をワゴンに乗せて移動しておられます。
廊下も、間接照明となっていて目にやさしいです。
緑の癒し空間
ちょっとした空間に「坪庭」など設けてあり、診察の待ち時間を利用して眺めたり、病室の窓からも見えるように工夫されています。一階待合ロビーから見える「なごやか庭園・いこいの小径」は、手入れが行き届いていて、滝も流れていて散策にはもってこいの場所です。(外部のひとの目には、入りにくい)
病室への廊下の間接照明
坪庭
プライバシーを守るため中待合室は見えません
ゆったりしたソファーの外待合室から、まったく見えない中待合室。坪庭を眺めながら、呼ばれるまで、のんびり待てます。
外待合室
屋上は゛さんさん広場
救急ヘリポートが屋上にあり、進入路を利用しての日光浴場所。おしゃべりするも良し、景色を見るも良し、外の風に当るも良し、病室とは異なる雰囲気のため、いきいきします。ここでは携帯電話使用コーナー、喫煙コーナーが設けられ、ほっとできる空間です。
その他
○各病棟には「あゆみ」「すこやか」「のぞみ」「さわやか」「やすらぎ」「ぬくもり」「ほのぼの」というような名前がつけてあり、聞くだけで患者さん達の笑顔が浮かんできそうである。患者さんとの「心ふれあうやすらぎの場」としての基本理念が伝わってくる。
○救命救急も、縦移動を中心に、ドクターヘリは上から、ドクターカーは下から直、救命救急センターへの態勢が整えられている。
○受付・薬局なども、番号で呼ばれていて、プライバシー保護が徹底されていた。
玄関ロビーのべビーカー
玄関ロビーの電話専用室
分別ゴミ箱
病室表示(草花の名と部屋番号)
診療センター
患者さんの手作り作品
病院の外観
医療スタッフ顔写真
病院食堂の窓からの景色
病院食堂
玄関脇エレベーター(お客さん用)
特別病室
特別病室(畳の部屋)
廊下
パンフレットさんさん広場(屋上広場)写真
パンフレット各病室写真
各病室
各病室も最大4人部屋でゆったりしていて、洗面台も広い。トイレは分散型で、各病室から近い位置にあった。しかしながら大部屋は一人分のスペースが広いことがかえって、昼間からカーテンをひいている人が多くなるなど、せっかくの大部屋の良さが生かされにくいとも感じました。